「不良ばあさん」になろう

風薫る五月になりました。
新緑が目に眩しく、
街は様々な花であふれています。
こんな時は自転車🚲で訪問するのがとても気持ちがいいのです。

こういう季節には、
自分一人では外出できない患者様を散歩にお連れすることも、
在宅生活を支える一環として行います。

今日は、ずっとお誘いしていたけど、
体調不良でそれどころじゃないと断り続けていらっしゃった患者様を、
ようやく近くのスーパーまで買い物にお連れすることができました。

今年90歳になるこの方は、
ずっと美容師をされて来られたそうで、
寝たきりに近い暮らしを送られている今も、
自分のやり方を曲げずに持ち続けておられます。

一日に用事は一つまでと、
マッサージの予定を含め自分のことは自分で管理されています。
多くの方が、
ケアマネジャーの立てたプランの中で生活することを
基本にされていることからすると、
ちょっと異色な存在です。

彼女は、彼女の予定に翻弄される事業所とは、
なかなかうまく折り合わない時もあるようです。
でも私は、あまりに”はっきりワガママ”な暮らしぶりを
尊敬の眼差しで眺めています。
もちろん私のマッサージの予定が、
週替わりになることもキャンセルになることも珍しくありません。

「昔は不良バアさん。今はヨレヨレバアさん」と
ご自身のことを表現されるその身体は、
何度かの腰椎圧迫骨折後、
食べた物もうまく胃に収まらないのか、
ご飯も喉を通りにくいらしく、
体重は30キロを切っています。

ですから、長らくなんとかスーパーで食材をみて、
好きなものを買って欲しいと考えていたのでした。

天気もいい今日の外出の結果は予想以上で、
スーパーに向かう道すがら
「この道通るの何年ぶりやろ。
いつも車でデイと病院の往復やろ。
お上りさんみたいやわ。ウキウキや」と
はしゃいで下さいました。

スーパーでは、
「そんな食べられへんけど、見るだけでいいし」と
いいながら、
野菜からお刺身、お惣菜、おやつにデザートまで買われました。
あまりに嬉しそうに、
日持ちするものをと探されるので、
「次の機会に。また来ましょう」と言ってしまいました。

予定の倍以上の時間がかかってしまいましたが、
これで少しは食欲が湧いて、
美味しく食べていただけたら何よりです。

「不良バアさん」は、「ヨレヨレバアさん」になっても、
自分で考えたことを自分のやり方でされます。
それは、時に一般的なやり方と違うので、
私たちは、戸惑い、関わりの距離を遠ざけようとします。
でも、本当は、多様な人生を受け入れることで、
ステレオタイプではない関わりを模索して行くことが出来ると思います。

そして、自分が齢を重ねて行った先は、
誰になんと言われようと、嫌われようと、
「不良バアさん」みたいになるのが
いいような気がする今日この頃です。

連休はお休みいただきます。休み明けにリフレッシュしてまた頑張ります。よろしくお願いします。

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