贅沢ランチ

昨日は、患者様と贅沢ランチをしてきました。

仕事で様々な方との出会いをいただきます。

マッサージは、身体がリラックスすることで、口も軽くなっていただけることも多く、お付き合いが長くなると、友人ではないけど、その人のことをよく知る他人になることもあります、

そんなときは、私もついついリラックスして口が軽くなってしまいます。

プロフェッショナルに徹しなければと思いながらも、心地いい時間の流れについつい身を任してしまうこともしばしばです。

そんな時間の延長線上のランチ会食で、アルコール付きのお食事を堪能してきました。

私は、身体の中がどうなっているか、目に見えない筋肉を指先で感じ、そこをあるべき状態に戻していくことに取り憑かれているところがあります。
多分それは、解けない数式に出会った数学者のそれと似ていて、それは、誰かのために一生懸命というようなものとはまるで別なクレイジーな世界です。

でも、長い時間、この仕事を好きなまま毎日を過ごすことができているのは、クレイジーな魅力以上に、心の垣根が知らない間に溶けてしまうような患者様との時間のおかげなのだろうと思います。

本当にありがたいことです。
周りの全てに感謝の気持ちを忘れず仕事が続けていけますように、どうぞよろしくお願いします。

    

いっぱいおしゃべりしながらゆっくりいただきました。美味しゅうございました。

脳性麻痺患者様の発声

私の治療院に、脳性麻痺の患者様がいらっしゃいます。

とてもパワフルで、アクティブな方です。
小学校に行くことも出来なかったそうですが、ご両親の深い愛情に育まれ、障害をものともしない様々な経験をされたそうです。

60を超えた今も、買い物や旅行✈️に日々楽しく過ごされています。

そんな暮らしの中で、英語が話したくなったからと、英会話教室にも10年くらい通われていたそうで、海外旅行に行かれても、英語でのコミュニケーションに不自由はないそうです。

旅行先や外出先で、英語で話しかけても、相手にすぐ通じるとおっしゃいます。

けれど、私は、その方と話していて、話題が急に変わったりすると聞き取れない時があります。
申し訳ないのですが、何度か聞き返させていただくことも多々あります。

脳性麻痺の方は、緊張をうまく抜くことが出来ないために、発語するのにも力が入り過ぎて、発音が不明瞭になる方が多いのです。

それなのに、英語で話しかけて通じないことはないとおっしゃるのです。不思議に思って尋ねてみました。

「日本語と英語とどちらが話しやすいですか?」

「英語です。脳性麻痺の人は大概そうですよ」とおっしゃいました。

そうだったんです😵
脳性麻痺の方は日本語より、英語の発声に近い発声だったのです。

日本語は口の入り口近く、唇とその周辺で軽く発語する言語だと聞いたことがあります。

韓国語を習っていた時に先生が、韓国語や英語は発声自体に腹式呼吸があるので歌の上手い人が多いと教えて下さいました。

脳性麻痺の方は唇や舌を動かすことや呼吸に緊張を伴うので、いつも腹式呼吸になるので、英語の方が発語するのに近く、ネイティヴに近い発音になるらしいのです。

眼から鱗がおちるようでした。

日本人の多くは、街で突然、脳性麻痺の方に話しかけられたら、聞き取りにくくて、答えに窮するなんて場面は想像に難くありません。

なのに、英語で話したら、その場にいる外国人が難なく聞き取れちゃうなんて!

なんだかそんな場面を想像するだけで、楽しくなってきました。

パワフルなこの方は、今月末にも、介護のスタッフとともに、グアム旅行✈️に行かれます。

日本での話をしても聞き取ってもらえず、何度もいい直さなくてはならない日常のストレスから解放されて、ゆっくり楽しんで来られることをお祈りします。

ちなみに、脳性麻痺の方にリハビリをするのは、緊張を増強させ、症状を悪化させることもあるので、良くないと考える医師もおられます。
それほど、生まれついた時から、身体を動かすことに常に緊張を伴う方に、緊張をさせないように動作訓練をするのは困難なのです。

ですから、私の仕事は、いかに緊張を抜けるマッサージをすることが出来るかにかかっています。柔らかな刺激で全身の緊張を取り除き、リラックスした状態で四肢を他動的に動かすことで、四肢の拘縮の進行を食い止めるのが私の使命です。

まだまだ知らないことや、考えが至らないことがたくさんあります。
疾病や障害の身体に共感できる感受性をもっと育んでいくよう精進したいと思います。
どうぞよろしくお願い致します。

至らないことがあると、空を見上げています。形にならない雲の自由で、美しい空を見ると自然と元気が湧いてきます。

あこがれの三重県

息子たちが幼かった頃、彼らは虫博士でした。
一緒に絶滅危惧種になったタガメを探したこともありますが、
見つけることは叶いませんでした。

関西で今もタガメがいる可能性があるのは
人の手が一番入っていない自然が残されている
三重県だと何かで読んだことがあります。

そんなタガメが残る秘境出身の患者様が、
私の治療院には3人いらっしゃいます。

ある時、
その方たち3人ともが、
身長が高くなく、少し頬骨が出ていて、目が細いという特徴があり
よく似ていらっしゃる事に気がつきました。

たまたまかなと思いながら、
一人の方に話してみたら、
「そうなんや。屋台のラーメン屋が親父そっくりだったから、
どこから来たか尋ねたら、同郷人やったんや」
とのことでした。

私は一人勝手に想像するのです。
その患者様たちは、
心もどこかしら似ていて、
戦前戦後を生き抜いてきた
真面目で一生懸命な日本人のスピリットを
そのまま体現されれいるような方々なんじゃないかと。

なぜなら、
治療中に話して下さるお話は、
それぞれに全く別の境遇にもかかわらず、
どこかしら似ていらっしゃるように感じるからです。

人生を生き抜いて来られた強さと、
その御苦労の深さから出てくるカンの良さと
細やかな気遣いが
どことはなしに、
他の人たちとは違う気がするのです。

私は治療をしながら、
この患者様たちの残りの人生が
穏やかなものでありますようにと
いつも願わずにはいられません。
そういう気持ちをもたらせてくれる方達なのです。

お一人は、
二週間に一度治療院に来て下さる自費治療の患者様です。

先日の連休明けの土曜日にも来て下さいました。

この方は
身体中の関節が柔らかすぎて、
身体を支えるのが大変になっていました。
関節が柔らかいということは、
身体の支持力が弱いので、
歳をとると結構大変です。

前回来られた時に、
歩くのが少しずつ大変になっていたので、
できる範囲でたくさん歩く方がいいとお伝えしました。

助言に従い、
毎朝の散歩を続けられたそうで、
足の筋肉は見違えるくらいしっかりされていました。

毎回「いい先生に巡り会えて幸せや」と言って下さるので、
私も「いい人に来ていただけて本当に幸せです」と答えます。
耳が少し遠いので、ちゃんと聞こえているか心配ですが。

治療院は二階にあるので足元が心配で、
「一人で大丈夫」と言われても、
「万が一のことがあったら悔やんでも悔やみきれません。手伝わしてください」と、
一階まで降りるのをお手伝いしていました。

「またお越しくださいね。」とお見送りしましたが、
それが、最後になりました。

その6日後、
同居の妹さんに
「お寿司が食べたい、今日はわたしのおごりやで」と伝え

妹さんが出かける前、
洗濯物を取り入れるのに席を外し
戻ってみたら呼吸が止まっていたそうです。

生きて来られた人生をそのまま体現するような、
素晴らしい大往生だと思います。

それでも、
定期的にお会いしている人が突然に逝かれるのは
やっぱり寂しいです。

お会いできたことは本当に幸せでした。

御苦労の連続だったので、
あの世でようやくゆっくりのんびり過ごされるのだろうと思います。
心よりご冥福をお祈りします。

そして、ありがとうございました。

お伊勢さんの飴なんだそうです。おみやげに下さいます。ニッキがきいたとても美味しい飴です。

我が気持ちの動きよ

ある患者様からこんなことを言われました。

「朝採れいちごはおいしい、
夕採れいちごはもうしなびておいしくない。

あなたも朝一番の指からは活力がみなぎっているのに、
夕方になると力がなくなっている。
だからできるだけ朝一番に来てもらいたいんですよ」

自分ではそんなつもりはもちろんないのですが、
疲れてくると指から出る力が消えて行ってしまうのでしょうか。

患者様の言葉で、
自分の無力さばかりが見えてきます。
自分が能無しでダメダメな人間に思えてくるのです。

でも、別の患者様から
「指が身体に溶けて行くんですよ。
あなたの指は私の身体に合うんです」

なんて言われると、
ついさっきまでの悩みがきれいに消え去ります。

そうなると、
至って単純な人間なので、
マッサージでお金がいただけて、
ご飯が食べられて、
ついでに感謝してもらえるんだから、
神様に感謝しなきゃって思えてきます。

患者様のたった一言で涙が溢れそうな安心感を与えてもらい、
その一言で私は癒されます。

本当の癒しというのは、
身体が楽になるというような、
単なる技術の提供の中にはないのかもしれません。

我が治療院、最高齢の104歳の患者様は、
いつも私を優しく見ていて下さいます。

年相応に、
物忘れがあったり、
夜間にベッドの下から伸びて来る手に悩まされていたりされます。
(つまり、あり得ない物が見えたりするわけです)

でも、私が元気がないとすぐに見て取って励まして下さいます。

私自身はむろん何にも言わないし
普段通りにしているつもりです。
でも、いつも見破られます。

「今日は元気ないなぁ。
どうしたんや。
たまにはガツンと言ってやったらいいんやで。」

なんて言って下さるので、思わず涙が出ちゃいます。

そういう優しい言葉に勇気と元気をいただいています。

毎日、心を込めて一生懸命を信条に仕事をしていますが、
与える側という一方的な立場を超えたところに、
本当に心が溶け合うような安心感が生まれます。

私自身が癒されたと感じる時は
患者様の心も同時に癒されているような気がします。

意識して作れるものでもありませんが、
治療師という立場に胡座をかくことなく、
誠実に向き合う中でこそ訪れる瞬間なのかなと思います。

今回のブログは日々仕事をしている中での
気持ちの動きをつらつらと書きました。
書いていると我が身の未熟さを恥じ入るばかりですが、
どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

患者様の家の近くで子ネコが生まれました。子ネコから人間の目をそらすため、母ネコが反対方向に歩いていきます

ハーモニーきょうと/ハーモニーきっず

友人の始めた放課後デイにようやく行くことができました。
広くてきれい❣️で、自由な空気に満ちていました。
ハーモニーきょうと(深草)http://harmonykyoto.seesaa.net/

ハーモニーきっずの作品

座位のとれない子ども用クッション

始めたばかりで軌道にのるまでいろいろ大変そうですが
夢を膨らませながら歩む姿にすごいなぁと思いました。

子どもの頃、友達がいっぱいいることや、
人より目立つことや、
全てにおいて一番であることを目指し、
到達できない自分にガッカリしながら毎日を過ごしていたように思います。

大人になると、
必ずしもそれが全てではなく、
真面目にコツコツ歩むこと、
誠実であること、
毎日を楽しむことなど、
一番になることが一番ではないと知りましたが、
ここに来るまでの道のりの中で一番を目指し、
一番になれなくても諦めずに目指し続ける心が
大切だったんじゃないかなと思います。

けれど、
多様な価値観を知ることができる大人になるまで
諦めずに行き続ける道のりは
決して簡単なものではないかもしれません。
子どもの世界は自由な反面、小さくて残酷だからです。

そんな子どもの頃に、
様々な価値観の大人と接することで、
画一的な価値観の中ではない
自分なりの一番があると考えられるように思うし、
それがすごく大切なことなのではないかと思います。

この友人が運営するハーモニーきっずには、
そんな多様な価値観を持ったスタッフと考えが
びっしりと詰まっているように思いました。

今は重度の障害を抱えた子どもたちが多いようですが、
発達障害を抱え居場所を見つけづらい子どもたちにこそ通ってほしい
型破りな場所ではないかと思いました。

障害を抱えた子どもたちが自分を受け入れられる場所になるといいな。

それと、カンパも大歓迎のようです(笑)!

NPO法人ハーモニーきょうと/ハーモニーきっず
住所:京都市伏見区深草瓦町47 フェリーチェ47 1階
電話:075-748-6196
E-mail:harmony.kyoto★gmail.com (※★を@に変えてください)
ブログ:http://harmonykyoto.seesaa.net

《アクセス》

「不良ばあさん」になろう

風薫る五月になりました。
新緑が目に眩しく、
街は様々な花であふれています。
こんな時は自転車🚲で訪問するのがとても気持ちがいいのです。

こういう季節には、
自分一人では外出できない患者様を散歩にお連れすることも、
在宅生活を支える一環として行います。

今日は、ずっとお誘いしていたけど、
体調不良でそれどころじゃないと断り続けていらっしゃった患者様を、
ようやく近くのスーパーまで買い物にお連れすることができました。

今年90歳になるこの方は、
ずっと美容師をされて来られたそうで、
寝たきりに近い暮らしを送られている今も、
自分のやり方を曲げずに持ち続けておられます。

一日に用事は一つまでと、
マッサージの予定を含め自分のことは自分で管理されています。
多くの方が、
ケアマネジャーの立てたプランの中で生活することを
基本にされていることからすると、
ちょっと異色な存在です。

彼女は、彼女の予定に翻弄される事業所とは、
なかなかうまく折り合わない時もあるようです。
でも私は、あまりに”はっきりワガママ”な暮らしぶりを
尊敬の眼差しで眺めています。
もちろん私のマッサージの予定が、
週替わりになることもキャンセルになることも珍しくありません。

「昔は不良バアさん。今はヨレヨレバアさん」と
ご自身のことを表現されるその身体は、
何度かの腰椎圧迫骨折後、
食べた物もうまく胃に収まらないのか、
ご飯も喉を通りにくいらしく、
体重は30キロを切っています。

ですから、長らくなんとかスーパーで食材をみて、
好きなものを買って欲しいと考えていたのでした。

天気もいい今日の外出の結果は予想以上で、
スーパーに向かう道すがら
「この道通るの何年ぶりやろ。
いつも車でデイと病院の往復やろ。
お上りさんみたいやわ。ウキウキや」と
はしゃいで下さいました。

スーパーでは、
「そんな食べられへんけど、見るだけでいいし」と
いいながら、
野菜からお刺身、お惣菜、おやつにデザートまで買われました。
あまりに嬉しそうに、
日持ちするものをと探されるので、
「次の機会に。また来ましょう」と言ってしまいました。

予定の倍以上の時間がかかってしまいましたが、
これで少しは食欲が湧いて、
美味しく食べていただけたら何よりです。

「不良バアさん」は、「ヨレヨレバアさん」になっても、
自分で考えたことを自分のやり方でされます。
それは、時に一般的なやり方と違うので、
私たちは、戸惑い、関わりの距離を遠ざけようとします。
でも、本当は、多様な人生を受け入れることで、
ステレオタイプではない関わりを模索して行くことが出来ると思います。

そして、自分が齢を重ねて行った先は、
誰になんと言われようと、嫌われようと、
「不良バアさん」みたいになるのが
いいような気がする今日この頃です。

連休はお休みいただきます。休み明けにリフレッシュしてまた頑張ります。よろしくお願いします。

フライングダイナソーで宇宙飛行士気分

息子の春休みに合わせて、仕事を休ませていただき、ユニバーサルスタジオジャパンに行ってきました。

人混みが苦手な私と、ちいさい時から並ぶのが苦手な息子たち。ところが中学生になった息子が行きたいと言うので、初ユニバーサルスタジオジャパンでした。

初めて行ったそこは、近隣の駅から人波が続き、開園30分前に行ったのに、入場するのに15分もかかりました。

並びたくなければもっと早く行かなければなかなかったようです。
それでも、年間パスポートを持っている甥っ子が一緒にきてくれたおかげで、待ち時間の長い中、いくつかのアトラクションを見てまわることができました。

中でも一番人気だったフライングダイナソーというジェットコースターは、210分待ちを乗り越えてようやく乗ることが出来ました。
くるりと逆さ向けのまま周るこのジェットコースターは、身体に心配のある人や高所恐怖症の人の乗車を注意していました。周りは若者ばかりの行列の中で、中年の私が乗車できるか心配になってきましたが、息子に「大丈夫やろ」と言われ乗ることにしました。

ようやく回ってきた座席は最前列でした。
プテラノドンにつかまれたまま一緒に空を飛んでいるように作ってあるジェットコースターです。始めは怖くて吐き気をもよおしそうでしたが、次第に怖さより、空を飛んでいる快感のほうが大きくなってきました。まるで宇宙飛行士になったような気持ちになりました。

ほんの1,2分の時間だったと思いますが、乗り終えた時に身も心も若返った気持ちで満たされていました。
決して自分の力ではなく、全くの他力なのに、不思議な感覚でした。

寝たきりになって自分では歩けなくなった方を、まるでご本人が歩いているかのように介助して歩かせてあげる時があります。その方が正しい筋肉運動ができて、身体状況がよくなるからです。ですけれど、よくご本人からは、「自分で歩いていないのに歩いている気持ちになれて元気になる」とか、「あんたを24時間ずっと雇いたい」と喜んでいただけることがあります。

今日私が味わった気持ちは、これに近い気持ちなのかなと思いました。肉体で感じることは、頭が考えることを超えることがよくありますが、思考は、やはり肉体の感覚に支配されているのだろうなとしみじみ思いました。

待ち時間が長く、ずーっと立ち続けて、足腰はクタクタですが、息子のおかげでちょっと若返った一日が過ごせました。

明日からまた、皆様のケアに精を出したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

老いの準備 歯について

先日歯医者に行きました。
3ヶ月に一度の定期チェックです。

私は病院があまり好きではなくて、心配なことがあるとちゃんと行くのだけれど、今のところは寝たら治ることが多いので、ついつい足が遠のいてしまいます。

でも、歯は寝ても治らないし、虫歯などのトラブルを早期に発見することで、健全な状態が保てるので、定期チェックは必ず行くようにしています。

定期チェックでは、虫歯の有無と歯ぐきの状態のチェックをしてくれます。それから、クリーニングをしてくれます。

それで、ここ最近は、歯ぐきの状態が少しずつ悪化していて、糸ようじをしてもらうと、口の中が血だらけになります。
歯科衛生士さんは、いつも「糸は?」と尋ねはります。私は「してません…」と答えます。

私は糸ようじが嫌いなのです。糸ようじをしてもらった後は歯が弛んでしばらく違和感が残るし、私には合わないんじゃないかと思ってきました。
顎が小さくて歯がぎゅうぎゅう詰めに生えていて、歯並びもよくありません。
なので、何度ご指導いただいてもする気にならずに来ました。

ところが今回の定期チェックの後、数時間過ぎてから、口の中にいつもの糸ようじ後の違和感とは違う、何がはさまっているような違和感がありました。調べてみると、歯と歯の間の歯ぐきに血豆が出来ていました。
糸ようじの嫌いな私は、糸ようじのせいに違いないと思い、ネットで検索してみました。

心配ご無用!デンタルフロス使用時の出血について | デンタルフロスのオカムラ
http://www.okamuragroup.com/jp/column/2292/

するとそこには下記のように書かれていました。

決して、歯茎を傷つけているわけではありません
デンタルフロスによる出血は、
特に使いはじめた頃に血が出ることが多々あります。
それは実は、デンタルフロスで歯茎を痛めているからではなく、歯ブラシだけでは残ってしまう歯垢が原因で、歯と歯の間に炎症を起こしているためです。
つまり、歯周ポケットにばい菌が集まり、歯茎が腫れて血がたまっている状態。
デンタルフロスは、そんなすでにたまっている血を、はき出してくれるんです。
なので、最初は出血したとしてもまったく問題ありません。
自分の歯と歯茎の健康のために、たまった悪い血をはき出す。
それが、デンタルフロスの特徴的な役割といってもいいのかもしれません。
歯周病予防にもつながります
逆にフロスを毎日つづけると、徐々に血が出なくなっていきます。
さらに、歯茎の腫れもおさえてくれます。
歯茎を腫れた状態から健康的な状態になるようはたらきかけ、
結果的に歯と歯口を守ることにもつながります。
デンタルフロスをすることは、歯周病の予防にも役立つというわけです。

これを読んで、
お口の健康のために、糸ようじは、私には必要なことがよく理解できました。

それから、二週間。極力毎日糸ようじをするようにしています。
ここに書かれている通り、出血は数日で治ってきました。
その上、歯みがきするだけより、歯がツルツルになるのです!

口の健康は本当に大切です。
生きるとは食べることなので、口の中がよくないときちんと食べられないし、口の中がより不衛生だと誤嚥性肺炎の大きな原因になるのです。
在宅ケアの中で歯科衛生士さん、歯科医師はとても大切な存在です。

知っていることと、ちゃんと実践出来ることはまた別なのです。やはり、専門家の言うことにきちんと耳を傾け、素直な高齢者を目指さねばと思いました。

先生であることのこだわりがとけた時

仕事を始めた頃は、まだ二十代で、「先生」であることや、「与える側」でいるために、必死だったように思います。障害老人があきらめた人生に希望の光を見いだせる力になりたいと思っていたような気がします。

でも、五十歳になろうとする今は、マッサージという専門分野において私が「先生」であるのは変わらないですが、生きた時間の長さや人生経験において患者様から教わることが多く、「先生 ― 与える側」「患者様 ― 与えられる」という一方的な関係ではなく、お互いに様々な側面を出しながら付き合えるようになってきました。

こんな風に思えるようになったのは、ゆうこちゃんとの出会いが大きかったように思います。

ゆうこちゃんは、もう亡くなられた患者様の息子嫁だった人で、歳が近いことや、子育ての悩みが似てることなどから、患者様が亡くなられた後も、お付き合いが続いていて、一年に一度くらい、会って話をします。

先日がその日でゆうこちゃんと6時間も呑んで話していました。お互いの毎日の仕事のことや、家族のこと、友人の話をしているとあっと言う間に時が過ぎました。

患者であるゆうこちゃんのお義母様は、一代で会社をおこした社長で、アルツハイマーを発症され足腰が弱ってきたのでマッサージでもと依頼をして下さいました。この患者様とそのご家族との付き合いは、それまで経験してきたどんな仕事とも違いました。

例えば、患者様が人に物をあげることで自尊心を保ってきたからと毎回お菓子などのお土産をたくさん下さいます。こんなにいらないと断っても、ゆうこちゃんは「お義母さんがないと落ち着かないからもらって」と、お持たせ用の袋まで下さるのです。

一般的な考えややり方とは違うのだけれど、なるほどとも思えるのでそれ以上言えなくなりました。

「先生」として何か与えられないかと考えるものの、ゆうこちゃんのアルツハイマーのお義母様との付き合いや、私に対する気遣い、他の関係者との付き合い方など全てが、私の経験や考えを超えていました。日々、お義母様が穏やかに過ごせるように、考えられる最善の方法を自分の労も惜しまずにこなされていて、私は「ゆうこちゃんの世界」の一登場人物だったように思います。そのうち、不要な気負いがなくなって、知らないうちにただ「ゆうこちゃんの世界」を楽しませてもらうようになりました。

おそらく、その楽しんだ時間が、私の中の「先生」であることへのこだわりを吹き飛ばしてくれたような気がします。

その患者様とは5年ばかりの付き合いでしたが、その間に、息子様が先立たれ、患者様は施設入所されました。その大きな環境の変化の中でもゆうこちゃんは、誰も想像できないやり方で、お義母様や関係者と付き合いを続けていかれました。

そんなこんなで、ゆうこちゃんのおかげで、訪問マッサージ師とそのご家族という垣根も、超えたことすら気付かない間にするりと超えてしまっていました。

それで、患者様が亡くなられた後もたまにお会いして話をします。

ゆうこちゃんとの話は、たとえていうなら――お醤油みたいに馴染みの深い調味料の中に見たことも聞いたこともない異国のスパイスが混じってる――感じで、教えてもらうことばかり。少し年下の私ですが、苦労の多いゆうこちゃんの幸せをいつも願っています。

ゆうこちゃんにもらった東京土産。
みんなで美味しく頂きました。ごちそうさま。

保険治療と自費治療

医療保険による治療が日々厳しくなるのを心配して、友人の医師やケアマネジャーは、保険治療から自費治療に切り替えていくように勧めてくれます。
自費治療で生計が立てられたら、理解を得られない悔しさはなくなるし、レセプトの煩わしさからも解放されるし言うことはありません。

でも自費治療で生計を立てるのは、それはそれで本当に大変で、自費治療しかしていない治療師は心の底からリスペクトです。

収入のほとんどが保険治療なので、自費治療でお金をいただくことに慣れません。私ごときの治療にこんなにお金をいただいていいのだろうかという気持ちがなかなか抜けません。

なんらかの疾病を抱えた方だと、保険でも自費でも症状を軽減することができれば、相応の対価をいただくことに遠慮はありません。

しかしながら肩こりや疲労に対する治療は、全身の調整だけでは済まないものがあるように思います。
肩こりが完璧になくなるというのはなかなかイメージしづらく、私の治療でいいのかなっていう自信のなさがつきまといます。

疾病に対する治療と、リラクゼーション的な治療だと、リラクゼーションの方が容易いように思う方もあるかと思いますが、実際はリラクゼーションの方が不確定要素が多いので難しいと思います。そんな効果のほどが確かにわからないことに少なくない人がお金をかけていらっしゃるということは、働く皆さんのストレスはとても大きいということなのでしょうか。
そう考えるとリラクゼーションが提供できる治療への憧れは小さくありません。

しかしながら、マッサージの技術だけでなく、雰囲気・会話・部屋の様子全てにおいて心地よさを味わっていただかなくてはと思うと、そんな仕事の後は、自信のなさと精神的な疲労でぐったりしてしまいます😓

私自信の性格からくるのでしょうが、そんなこんなで、認知症で会話や発語が困難な方や寝たきりで身体が動かない方や、ガン末のターミナルケアの治療が、本当に好きです。
文字通り死ぬか生きるかという肉体を、少しでも軽く、息が深く出来るように手助けさせてもらえることはこの上ない喜びです。
ただただ、患者さんの肉体に溶けていくように自分の手を走らせ、生命活動を滞らせている筋肉を助けたり、解いたりしていると時間も何もかも忘れてしまうことがあります。

そんな時コミュニケーションもままならない方から、お礼の言葉をいただいたり、なんとなく心が通じているような気持ちになれたりして、肉体の解放が精神的な解放に繋がるのを実感したりします。

こういう治療は自費ではなかなか難しいのですよね。医療保険だからこそ可能なんだと思います。

認知症の患者さんの口コミから仕事が拡がったら私も安泰なのに、それがないのが残念です😅

訪問マッサージについての新聞記事についたブログに何人かの方から励ましの言葉をいただき、本当にありがとうございました。そう思って下さる人がいると思うだけで、前を向いて頑張れます。

あきらめない気持ちを大切に。

後縦靱帯骨化症術後、四肢不全麻痺があるのに絶対に寝たきりになりたくないと、どんなこともあきらめないで工夫を重ねやり遂げはります。
伺う度にリスペクトです。見習わねば。