90歳、五十肩の施術

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月に一度、祇園まで伺う90歳の患者さんがいらっしゃいます。
昨年の京都マラソンマッサージのテレビ中継がきっかけとなって訪問させていただくようになり一年が経ちました。

一番お困りだったのは、右肩の痛みでした。整形外科に痛み止めの注射に通われていましたが、なかなかすっきりしないようでした。

五十肩は、正式な名前を肩関節周囲炎と言いますが、その名前の通り、肩関節を支持し動かしている筋肉に炎症が生じ痛みがおきます。50歳くらいに多いのでこういう名前になったのでしょう。

私は、これは老化に伴い体幹が衰え、脊柱の彎曲に変化が起きてきた結果、肩関節の可動範囲に制限が加わることで発症すると考えてきました。

ですから、肩の治療の基本は、足腰の調整にあると考えています。
この方は、足腰にも年相応のトラブルをお持ちでしたので、全身の調整をしながら、肩関節の痛みの軽減をはかりました。

かなりの程度改善してきたようにも思いましたが、月一度の施術でできる範囲は限られているようにも思いましたし、施術後にはそれなりに痛みも軽減していたのでキネシオテープ(※)で固定して効果を長持ちさせるしかないだろうかと考えていました。

(※)キネシオテープについては2/13ブログ記事に詳しく書いています

ところが、先日伺った時は、痛みが少し以前よりひどくなっているようです。以前の出来事から思い込みから入ってはいけない、なんとか出来ないか考え直して見ました。

鍼灸師の先生からは、五十肩はその場で確実に治せると聞いていました。治療ポイントも教えていただいていました。ただ一つ「絶対はずしてはいけない」ツボの場所がマッサージ的にあやふやでこれだ!という手ごたえがありませんでした。

というのも、私にとって治療ポイントとしてのツボは、本に書いてあるどこから何寸横とかいうようなあるかないかわからない場所にあるものではなく、身体の反応として指先に違和感を感じるところがツボとして名前があるものなので、そこだけは感覚として腑に落ちない場所だったのです。

それで今日はとにかくじっくりと探ってみることにしました。
鍼灸師の先生に教えてもらっていたのは、前腕と腋窩後面(脇の下を作る筋肉の背中側)です。多分五十肩の治療穴として一般的なツボなのだろうと思います。

肩貞(けんてい)という場所だろうと思います。その昔、この体系を考えた人は人体の全てを理解できていたのだろとしみじみ思いました。
その影には何千という人間の皮を剥いだんじゃないかな…皮を剥ぐ時に引っかかったところが重要なツボだと思う…👿

そうしてじっくり探っていくと、私が考えていた位置より下方外側に筋膜がよじれている場所を発見しました。
その瞬間私の中で自分の考えの間違いに気づき、肩の痛みと可動域制限の理由がわかりました。

腕の付け根で筋膜の調整がうまくできなくて、そこのよじれがより深いシワとなっていたのです。私の未熟さが症状を悪化させていたかもしれません。

私は自分のすべきことがすぐにわかりましたから、夢中で腕の付け根で引っかかっている筋膜という服を綺麗に着せ直すように戻していきました。
治療後、ご本人に聞くまでもなく、腕が元のように動くのがわかりましたが、念のため確認してもらいました。どの方向にも引っかかりなく動きました。患者さんは、あれ!と驚きながら感謝して下さいましたが、私は私の怠慢でこのような目に合わせたことを申し訳なく思いながら「すみません、早く気づかなくて。今日ようやく気がつきました」と言うのが精一杯でした。

思い込みや決めつけが、患者さん状況の改善に役に立たないどころか、症状を悪化させてしまうことがあることを、私たちは常にその可能性を心に留めておがなければならないとしみじみ感じました。
そしてそれは、治療だけでなく、様々な場面で誰かのせいにする前に自分のやり方や考え方に疑問を持ち続けることが大切だなと感じた週末でした。

齢50。ようやくこのような事に気づけるチャンスが巡って来ています。

衰え行く身体だからこそ、心の柔軟さを失わず歳を重ねていけたらこれほど幸せなことはないのだろうと思います。
どうぞよろしくお願い致します。

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