フィギュアスケート・長洲未来選手のキネシオテープ

酷寒の中で、平昌オリンピックが開催されていますが、アメリカでは、フィギュアスケートの長洲未来選手の「太もも」に貼られたキネシオテープがその演技以上に話題になっているそうです。

平昌五輪 宣伝効果抜群、フィギュア長洲未来の「太もも」 SNSに問い合わせの声続々
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180212-00000553-san-spo
2018/2/13 産経新聞より

——(ここから産経新聞記事の引用)

平昌冬季五輪のフィギュア団体女子フリーで、日本人を両親に持つ長洲未来(米国)がトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を成功させた。五輪の女子で伊藤みどり、浅田真央に次ぐ史上3人目の快挙となるが、米国内ではその演技以上に長洲の「太もも」に視線が集まった。

五輪をテレビ観戦していた視聴者が、次々にSNSに書き込んだ。「長洲は太ももに『USA』のタトゥー(入れ墨)をしているのか?」「内ももにあるのは青あざ? タトゥー?」「長洲の太ももに『USA』のロゴ? タトゥーだろ」…。演技中、長洲の右太ももの内側にちらついた「USA」の文字に関する質問が拡散された。

米紙ワシントン・ポスト(電子版)によると、この「ミステリー」の正体は「キネシオロジーテープ」。関節などを固定する従来のテーピングとは異なり、筋肉や関節、靱帯(じんたい)などを保護・サポートする目的で開発されたスポーツテープだ。

——(ここまで引用)

キネシオテープは、日本の加瀬建造先生が考え出された優れものです。

加瀬先生が書かれた『キネシオテーピング法』上下巻(医道の日本社)初版の発行は1987年まで遡ります。

 

そして今や、日本のスポーツ界ではキネシオテープを知らない人はいないだろうと思うくらいに有名で、素晴らしい効果を発揮してくれます。

一般の薬局にも必ず数種類のキネシオテープが並んでいます。

治療機序について、『キネシオテーピング法 上巻』では、
炎症部位など血液やリンパの流れるスペースが狭められた箇所に、一定の収縮率を兼ね備えたキネシオテープを貼ることで、皮膚と筋肉間の摩擦が減少し、スペースが確保され、血液やリンパの流れが活性化し痛みの軽減、消失がおこると説明されています。

しかしながら、その効果の大きさが先生の予想を超えたからか、『キネシオテーピング法 下巻』では、人体最大の臓器である肝臓より、その総量において勝る、皮膚を単なる一枚の皮でなく、生命の維持に欠くことの出来ない最も重要な臓器の一つと捉え、キネシオテープの効果が皮膚と筋肉間のスペースの確保というだけでは説明のつかない有効性について言及されています。

私的には、皮膚がその下にある筋肉の働きを守り助けていると考えていて、トラブルを抱えた筋肉の走行に沿ってキネシオテープを貼ることで、様々なトラブルを解決してくれるので、数年前から大変重宝して使わせていただいてきました。

そして、ここ最近の私の治療は、以前にも増して、筋膜リリースを中心とした治療に変化してきているので、キネシオテープを使うことがますます増えています。
というのも、キネシオテープがリリースした筋膜が元に戻るのを防ぎ、治療効果を長持ちさせてくれるからです。
数時間後に剥がしても痛みが消えたままだったという報告をしていただけることもよくあります。

皮膚や筋膜といった”周辺器官”の果たしている役割がとても大きい証なのだろうかと思います。

そう考えると、皮膚とその下の筋肉への働きかけを手技の中心とする按摩・マッサージ・指圧師の果たせる役割は、さらに深い広がりを持てるのかなと未来への期待も膨らみます。

以前ブログに書いたキネシオテープの記事は2つあります。

優れもの キネシオテープ
https://www.yukicure.com/2017/02/19/kineshio/

治療師として息子の身体をみる
https://www.yukicure.com/2017/01/31/kotengu/

ところで、こんなすごいキネシオテープですが、アメリカ人の中では、USAというタトゥーかもしれないと話題になるところがお国柄の違いなのかなと思います。

ちなみに英語ですがTIMEでの長洲さんの記事はこちら。長洲さん本人がタトゥーじゃないですよと否定しているツイートも引用されています。

No, That’s Not a Gigantic ‘USA’ Tattoo on Mirai Nagasu’s Leg
http://ti.me/2Elfwzr#ab1fc91c-4b8f-4322-9049-d2ed833b82d7

桜吹雪や登り竜のキネシオテープを作ったら日本のキネシオテープとして世界中が虜になるのかしら😆
🌸がんばれ日本🌸

今日のうれしかったこと

毎日ほんの少しのことで、浮いたり沈んだり。相変わらず、メンタルは豆腐(と若い人は言うらしいです笑笑)です。

が、今日はうれしいことがありました。

年末に訪問を始めた方が、
「治療後は、立ち上がる時に痛みがなくて、嬉しくて涙がでました」と言って下さいました。

痛みが和らぐということが、当人にとっては涙が出てくるくらい嬉しいと言われ、なんだかしみじみそんなもんかと考えさせられました。
そして、自分がそういう力になれたことや、そんな風にストレートに言っていただけたことが、うれしはずかしで、言われた私が嬉し涙でした。

治療をして、その対価を得ることが出来るということは、基本的には、相手の納得がないと成立しないことなのですが、自分はちゃんと出来ているのだろうか、という不安が消えることはありません。

治療は、目に見えないもので、仕上がりも、時間の経過とともに消えて行くものですから、治療後の、心のモヤモヤは、それなりのストレスです。
しかしながらこのモヤモヤが技術の向上を目指す一番の力になっているのだから、仕方がないことなのだろうと思います。

それで今日はこの有難いお言葉を素直に胸に刻んで明日への活力にしたいと思います。

I feel so happy❣️

患者さんからいただきました。
大笑い な 戌年になりますように。

斜頸治療の話の続き

今回は、年末に宣言した斜頸治療の話の続きです。

斜頸とは、先天的、あるいは後天的に頸を傾げる状態に固定された状態を指します。斜頸という診断を受けていても、お元気な方の場合、一見してすぐわからない方もいらっしゃるそうです。
施術して初めて、頸部の状態が左右違うことがわかったりします。

ただ、そういう方が寝たきりになってしまうと、斜頸があることが大きな障害になってしまうことがあります。
筋力が低下して、重量に逆らう力が衰えることで、身体のクセはデフォルメされる上に、傾げた頸を真っ直ぐにするには、真っ直ぐな頸を真っ直ぐにするより、大きな力が必要になるからです。

骨格異常が、大きな障害として目に見える時には身体中の変化が完成した結果なのだろうと思います。

それは、鹿威し(ししおどし)が返るのと似ていて、変化を起こすだけの十分な蓄積の結果(鹿威しの場合は十分に水が溜まって初めて音を出す)身体の歪みが外から見てもわかるくらいに明らかになります。
そんなこんなで、今関わらせていただいている斜頸の方は、寝たきりになった後、身体を寝かせても、枕に頭を付ける事すら難しい状態になってしまわれていました。

頭が真っ直ぐにないということは、枕に頭がつかず、頭が浮いたままだったり、座った時も歪んだまま、立つ力があってもうまく立てないし、頭が真っ直ぐにならないから、ご飯を食べるのも一苦労ということになります。
とにかくご本人も、お世話する方も大変なのです。見ているだけでも、お辛そうで、なんとかしてあげたくなります。

それで、毎回片側のキンキンに縮んだ筋肉と、反対の伸びきったパンパンの筋肉をみては、なんとかしたいと格闘してきました。
頸だから危なくて、無理矢理伸ばすなんてことは出来ません。頚部の歪みは、脊柱の彎曲の結果なので、腰部から緩め、施術の最後には、頸の縮みをそろりと伸ばしてみます。その時はかなり緩んでいい手応えを感じます。が、一週間後に訪問すると施術前と大差ない状態に戻っています。

こんなことを数ヶ月繰り返し、やはり自分のやり方が間違っているのだと思うようになりました。

斜頸の頸を除いて、この方の身体の中で一番”おかしい”ところは、左の踵の動きでした。
口では、うまく言えませんが、この方の踵は、踵としての機能を失っています。
踵は五つの骨が組み合わせて出来ていて、全体重がうまく衝撃が一点に集中しないように出来ていますが、この方の踵は、今まで触ったことのない状態にあり、もしこの足で体重を支えたら痛くて立っていられないような状態でした。
それで、治療の基本に還り、問題のある箇所からもっとも離れた位置にあり、且つ、もっと正常から離れている場所の治療を中心に施術してみることにしました。

踵を中心に、その周囲の筋肉がより滑らかに動くように、調整を続けました。その日は、他の箇所を探ることはほとんどしないで、踵の調整だけをしたのですが、踵骨も萎縮した筋肉に引っ張られ、その向きが少しおかしくなっていたようで丹念にほぐしているうちに正常な状態に戻ってしまいました。
そうすると、頸も今までに見たことないくらい余裕のある状態に変化していたのです。

それからは、本当に畳の目ほどですが、頸に緩みを感じることが出来ているように思います。

老化や寝たきりは、長い時間をかけて身体全体が少しずつ変化していきます。ですから、より慎重に遠隔から治療を進める必要があるというのが私の考えの中心にありますが、ついついすぐに結果が現れないと余計なことをして、事態をより悪化させてしまうことがあるのです。

何百回と同じ過ちを繰り返していても、また同じようなことをしてしまうのです。

そうして、その日は、反省と希望に満ちた一日となりました。

この反省を今年こそは忘れずに頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

ご本人様は、とても上品で、いつも上手にお気遣い下さいます。
ご主人も、とても喜んで下さっていて、いつも誉め殺しにあっています。で、余計に功を奏してしまったのだろうと思います。

この一年での私の技術革新

今年一年を振り返るような時期になっていますが、私の今年一年は、私のマッサージ人生の中で最も大きな技術革新が起きた年となったように思います。

その違いは、傍目から見ても、施術を受けていただいていてもわからないかもしれないようなものですが、施術後の感覚は、以前のそれとは一味違うのではないかなと思っています。

それは、

問題を抱える身体が全体の中の変化であるという捉え方と、
その身体の持ち主に合わせた刺激量の調整の仕方を学んだこと、

それらが少しずつ形になってきたからだろうと思っています。

自分としては、東洋医学的なものの見方の中では、これらを当然のこととして今までもアプローチしてきたわけですが、鍼灸師の辻村先生と出会うことで、凝り固まった身体をほぐすということが力技ではないことを意識するようになり、受け手の状態への合わせ方もより繊細に変えていく必要があることを知りました。

私たちマッサージ師の日々の臨床の多くは、外科の手術のように、レントゲンで変性部位を確認し、そこに狙いを定めて取り除くというようなはっきりしたものではありません。

ご本人の訴えと医師の診断を基本に、より問題が集中している場所を探りながらの作業になります。ご本人の訴えや診断のついている病変部位が、問題解決の部位とは限らないからです。それは結果ではあっても、原因を他に求めた方が効果的に治療できるということがあります。

このことは、頭では理解していても様々な疾病や、老化に伴う病変の場合、解決の糸口を探っていくのは、容易ではありません。
目の前の一番大きな訴えに目を奪われてしまったり、様々な問題が混在しているように見えるからです。

このような身体をより全体的に、また、より陰陽虚実という生命力や治癒力という大きな視点から見直してみることが少しずつ出来てきた一年でした。

先日も、斜頸という、頸が先天的、あるいは後天的に傾げた状態になってしまった方の治療をしていて、自分の考えがまだまだ狭かったということに気づきましたが、この続きは次回に。

弘法さんも、もうお正月の準備が整っています。

治癒力

15歳のアスリートの股関節の痛みはあっけなく治ったようです。
基本的には、オーバーユースなので、休養が治療の基本です。
それに、ほんの少しの筋肉の調整。バランスのとれた動きに誘導すれば、後は本人の力で最善の状態に戻っていったのだと思います。

ただ今回は、意外なおまけがついてきました。
足底にあった巨大なイボが割れて大きな穴が空いてしまったのです。
大腿後面の筋緊張を改善することで、足底の筋肉が伸びてイボが裂けてしまったようです。

びっくりですが、身体の中で起きていることは、本当にシンプルで、人間の頭では、その全体を理解することがなかなか難しいように思います。

若いこの方のように、本人の治癒力が大きいと、こんなことが簡単に起きます。

治癒力とは、誰にでも備わっている、身体を恒常的に維持しようとする自らの内にある力のことです。どんな最悪の状態に思えても、身体は常に治癒に向かって働き、その時の最善の状態を維持しているのです。

ただ、高齢になってくると、その働きも落ちてくる上に、使い込んだ身体は、あちこちが傷んでいるので、治癒力が働いても、若い頃のように身体がすっきり元どおりとは行きません。

傷んだなりに、一番ベストな状態に落ち着かせてあげられるのか、治療師としての腕の見せどころなのだろうと思います。
しかし、凝り固まった筋肉をもみほぐすことで、変形した関節をサポーターのように固めている筋肉までも必要以上に柔らかくして、逆に身体に負担を与えてしまうこともあります。

このところの匙加減がなかなかうまくいきません。

ですから、誰も彼もが15歳の方のようにはうまくいきません。

もう10年にわたり、心臓疾患をお持ちの方の治療にかかわらせていただいておりますが、慢性的に怠さを抱える方の治療は、そのところが全くうまくいきません。

本人の力と私の治療の兼ね合いがバッチリいかず、反応をお聞きしては、ため息をつく日々です。

それでもあきずに治療を続けさせて下さっていることに、心から感謝です。
もっともっと上手になりたいです😢

強くたくましく、季節や場所を選ばず真っ直ぐに伸びているラベンダー。
こういうたくましい草花に、人を癒す大きな力があるのだろうと思います。
こんな風に強くたくましく生きていたいものです。

鍼灸師の辻村先生

身体に疲れがたまって来た頃、鍼灸師の辻村先生からメールが来ます。

「そろそろ調子が悪くなって来たんちゃう?」

辻村先生は、2年前に、ネパールの無医村にボランティアでご一緒させていただいた鍼灸師の先生です。

ネパール旅行が終わってからも毎月治療交換会をして下さっています。

身体が楽になるだけでなく、いろいろなことを教えてもらったり、アドバイスを頂いたりの時間で、私にとっては、深い気づきの場になっています。

先日の治療中の出来事です。

辻村先生は滅多にお灸をされません。
私はずっと、鍼とお灸は一つの治療体系の中にあると思って来たので、ほぼ鍼治療だけの先生の治療を不思議に思ってきました。

どうしてお灸をしないのですか?

「必要ないから。鍼で十分同じ効果が出せるから」

「鍼師と灸師は別の資格になってるし。
中国の古典にも江戸時代の文献にも今の日本のようなお灸の記述はないし。」

えー!そうなんですか?!
でも、松尾芭蕉の『おくのほそ道』に足三里に灸をすえるとでてきますよ。

「でも中国のお灸は、日本のようなお灸と違うし、棒灸(お線香の束くらいのもぐさを紙で包んだもので、皮膚の上から温める)か、灸頭鍼(刺している鍼の上をもぐさで温めるタイプの灸)やしなぁ」

ふーむ。

江戸時代には、鍼治療を受けられない人が、民間療法として鍼のかわりに直灸(じかきゅう)をするようになって今のようなお灸が広まったんですかね。

「そうかもしれんなぁ」

ヨモギを叩いてもぐさって作れますよね。

「作れるよ」

誰でも出来たお灸が、意外に効果が高く、明治になって、鍼灸の治療として組み立てたんですかね?

「きっとそうやわ」

なるほどー。

お灸が鍼の代替医療だったとしたら…なんだか今までにない考えにいろいろワクワクしてきます。

本当のところはわかりませんが、こんな風に話をしながら、仮説を立てたりして楽しんでいます。

私にとっては、この治療交換会は、本当にエキサイティングな時間なのです。

おかげで、私のマッサージ治療は、辻村先生の鍼治療をうけるようになり劇的に変化しました。

身体への本当の変化を必要としているのは、
凝り固まった奥のコリだけではなく、
表面を覆う皮膚、あるいはその下の筋膜の果たす役割の大きさを考えるようになりました。

辻村先生の鍼治療の刺激で変わっていく、私自身の身体から、このことを確信することが出来たのです。

『コリをもみほぐす』

長い間、この言葉に囚われて大切なことを見逃してきたように思います。

しかしながら、皮膚・筋膜へのアプローチを可能にするのは、深層のコリを感じ、探り当てることが出来るからなのです。

「ミニマムの刺激を治療に使えるのは、マックスの刺激を与えることが出来るから」だと、これも辻村先生から教えて頂きました。

そうであれば、今までの私の道のりは無駄ではなく、ミニマムな刺激の治療を可能にするために必要だったのだと思えます。

私の治療の旅はまだまだ先があるようです。

振り返ると未熟な自分に申し訳ない気持ちでいっぱいになりますが、懲りずにどうぞよろしくお願い致します。

お試しマッサージ[膝関節の人工関節置換術後に、痛みが発症した方]

今日は、ケアマネジャーさんから、膝関節の人工関節置換術後に、痛みが発症した方をご紹介頂き、お試しマッサージに訪問させていただきました。

訪問マッサージとなると、計画的・定期的な訪問となるため、手技の相性・人間的な相性を見てから決めたいというお話をよくいただきます。

私は営業トークが得意ではありません。
営業先が、迷惑そうだったり訝しげな雰囲気があるのを感じると早々に退散したくなります。

ですから、実際に体験したいという依頼は喜んでお受けいたします。

例え、それがすぐに仕事に結びつかなくても、紹介したいと思っていただけたことをありがたく思います。

今回は訴えが術後の痛みという、あまりないケースであり、訴えの場所が限定的だったので、膝の状態の確認、考えられる状況、この場で対応出来る治療をして、これからの可能性について話をさせていただきました。

人工関節は、変形した関節面を切り取り、セラミックなどの人工の関節に置き換えるものが一般的で、使い勝手が前より限定されることはあっても、痛みは消失することが多いのです。
そこに歩けないくらいの痛みがあるというのですから、一般的な全身治療は不適応だと考えました。

よく見ると、膝下数センチのところに不自然な段があります。
人工関節と下腿の接続面が少しずれているように見えます。レントゲン撮影では異常はなかったということなので、筋肉のねじれによるズレが生じているのかと思いました。

そこで、皮膚の緊張を緩め血行を良くして、”正しい”関節運動を誘導して、テーピングで軽く固定することで、痛みの軽減をはかりました。
施術直後は、痛みが軽減し、歩行が安定したと言っていただけました。

結果、ご本人・ご家族様にも大変喜んで頂き、主治医の同意もいただけたので無事、訪問を始めさせていただけることになりました。

もう少し時間をかけて全体の調整か必要かと思っています。

術後の膝の痛みの他には大きな問題のない方ですので、なんとか自立的な生活を支えたいという、ケアマネジャーさんの熱い思いでセッティングしていただけた仕事です。
この仕事は、膝のトラブルが治ればゴールです。

ご期待に添えるよう頑張りたいと思います。

いかにも”歩行困難な要介護”の方らしい景色に思わずシャッターを切りました。
玄関から洩れ出る光で野菜の栽培❣️
外出の自立が困難になるのは、心に鍵をかけられるようなことなんじゃないかと思います。この鍵は自分のしたいことを表現することに自分自身で鍵をかけてしまうように思っています。
だからこそ「様」という言葉でリスペクトの気持ちを表したくなるのです。実際に呼ぶ時は「さん」ですが。

15歳のアスリート

先日、15歳の中学生の女の子が股関節が痛いと来院されました。

知り合いの方に見てもらったら全体に重症だからきちんと治療する方がいいと言われたそうです。

慌てて病院に行くと保険治療が適応できると同意書にサインもしてあります。

私のみた感じでは、股関節に痛みはあるもののしばらく休養すれば自然に治るようには思いましたが、なるほど鍛え過ぎた脚は筋肉のバランスを少し欠いているようにも感じました。

三年後の東京オリンピックの出場を目指す彼女は、毎日の過酷な練習をこなしているのです。

若い身体は老化に向かうそれとは、何もかもが全く違います。
余計なことは極力控え、本人の治癒力を信じて、ほんの少し手助けするだけで回復することがとても多いのです。

お金の話になりますが、保険治療となると、
彼女の場合、一回の治療費は、855円になります。
855円分の治療というのは、時間にすれば、10分程度かなと思いながら、こんな若くてかわいい子が来てくれたことを考えるとさらりと終われません。
身体に触れてしまうと、時間やお金で割り切れない私自身のこだわりを抑えるのはなかなか困難なのです。プロとしては、こういうのは失格ですね。

仕方ないので、

「東京オリンピック連れて行ってやー。トレーナーでついて行くわー。」

と言いながら一時間以上治療してしまいました。
これは、仕事とというより、もう趣味の領域だと思うと気が楽になります。

そんなこんなでしばらくかわいい彼女とお付き合いが出来るかなと思います。

彼女が東京オリンピックに出場が決まれば、この場でジャジャーンと発表したいものですね❣️

心の中で腑に落ちない言葉や出来事ほど、時間をかけてわかることもあるように思います。
その時は苦しくても、旅の途上にいると思えるだけで、気持ちはかなり軽くなります。
鷹の目を忘れずに。

定期的なマッサージ施術

患者様から、美味しい秋の便りを戴きました。

この患者様は、心臓の大きな手術をされていて、見た目はわからないのだけれど、少しの無理が身体に響いてしまい、様々なトラブルを抱えてしまわれることの多い方です。

心臓のポンプ作用が弱ると、その負担を軽くするために、水分制限をして血流量を減らすか、利尿剤の服用で水分を強制的に排出して血流量を減らすという方法で、心臓の負担を軽減するのが、内科的治療としては一般的かと思います。

マッサージは、他人の手により血流を良くして、血液の還流を良くすることで、心臓の働きを直接的に助けることが出来る手技です。

心臓は、身体中に血液を巡らすポンプの役目をはたしています。
ですから心臓の働きが落ちると、血液の還流が悪くなり、血管から水分が漏れ出て浮腫が発生します。
浮腫が起きたところに、血液を送り届けるには、浮腫を起こしているその水分(つまり、リンパ液)が、血管を取り囲んでいるため、さらに血管抵抗が高くなってしまい、心臓はさらに血圧を上げる必要にせまられます。
そうして、心臓の負担はもっと大きくなってしまうのです。

マッサージは、この身体中に溜まったリンパ液を流すように直接的に働きかけることが出来ます。
心臓疾患をお持ちの方の治療はとにかく返せるリンパ液は一滴でも多く返してあげることを目的に行います。心臓の負担がかなり軽くなるからです。

健康な人であっても、顔のほっぺや顎まわり、太ももの内側など動きの少ない部位では、漏れ出たリンパ液は返りにくいものですが、心臓に問題のある人は尚のことそのような場所にリンパ液が滞留してしまいがちなのです。

ですから、定期的にマッサージ施術を受けていただくことは、心臓の負担を軽減し、心臓機能の悪化を防げるように感じています。

そんなわけで、この患者様とも、もう10年以上のお付き合いになります。私の手がこの患者様の少しでも多くの助けになるように心を込めて施術させていただいています。

岡山から届いた無農薬・有機栽培の葡萄を家族みんなで味合わせていただきました。
ごちそうさまでした❣️

 

理学療法士の先生と一緒に仕事をした日

昨日は、病院を辞め、訪問看護ステーションで訪問リハビリを始められた理学療法士の先生が、多職種見学の一環で、訪問マッサージを見に、私の仕事に一日同行して下さいました。
事業所の所長が私を評価して下さっているので来て下さいましたが、ご本人の希望というわけではありません。

所長のご期待に添えるよう、仕事を見ていただきながら、マッサージ師の置かれている状況や目指すところ、治療ポイントなどを説明させていただきました。

ところが、半日くらい過ぎた頃から、教えることより、教えていただく方が楽しくなり、一日が終わる頃には、私がほぐした身体を、理学療法士の先生が、機能訓練するという、特別豪華な時間の提供の日になってしまいました。

私にとっては、今まで見てきた訪問リハビリの先生とは違うように感じました。先生は、私と同じく、筋肉の状態を指で感じながら状態を観察していらっしゃいました。そして、今の状況について推論され、そこから、考えられる可能性について話して下さいました。また、これから先向かう可能性についても話して下さいました。

理学療法士の先生は基本的に同じなのか尋ねると自分が特別ではないと言われました。出会い方が違うから私の見る目が違うのか、出会う場面が違うからなのかよくわかりませんが、私の中では、とにかく訪問リハビリの先生の評価が大きく変わる出来事となりました。

そんなこんなで、最後の患者様のご家族様は、「ありがとうございます。お金を請求して下さい」と言って下さいました。もちろん、今日は特別なラッキーな日であるとご説明させていただきましたが。

先生の治療を拝見できて、私も大変勉強になりました。
先生は、病院の中で患者様に関わることと、在宅で一対一の関係の中で関わる違いや、全てを一人でしなければならない大変さなどを話して下さいました。
また、病院だと毎日の治療プログラムの取り組みだけれど、訪問リハビリとなると週一回くらいの関わりが多くなるので、自分が来ない時間にトレーニングできることを伝えることがメインになると話されていました。

私も週一回の訪問の仕事も多くあります。私は基本的には、自分のことを老人トレーナーだと思っているので、患者様の身体を整えることで、患者様が最高のパフォーマンスが出来るように考えています。そう考えるようになった一番の理由は、なかなか特別に訓練を続けられる人が多くないこと、またそういう働きかけが私は得意じゃないからです。

理学療法士の先生からは、そうすることで、私が関わり続けないと維持できなくなるので、患者様が自立出来る道を模索することが必要ではないかと指摘いただきました。

リハビリテーションという考え方の中では、計画・ゴール設定が大切だからです。

でも私にとっては、訪問マッサージはリハビリテーションの一つというより、気血の流れを捉えることで、より軽い身体で、生きていくための薬に近い感覚で捉えています。ですから、高齢者や障害者の場合、血圧の薬や便秘薬のように、ゴール設定をする類いのものではなくて良いのではないかと考えていると伝えました。

先生の中では、多分、高くない評価の訪問マッサージとの出会いだったのではないかと思いますが、私がこの日の最後に感じたエキサイティングな感覚を先生もまた感じて下さっていたら嬉しいなと思います。
もしかすると、もっと違う感想を持たれたかもしれませんが、これから先、考え方の違いについて議論を重ねながら、最後に出来たコラボレーションのような仕事が一緒にできたらいいのにと、私にとっては、これからの展開に多いに期待したくなる時間となりました。

訪問看護ステーションの所長様並びに嫌がらずに一日きて下さった理学療法士の先生・それから同行を快く受け入れ下さった患者様に感謝申し上げます。ありがとうございました❣️

晴明神社の魔除け桃。
多くの患者様が、京都は安倍晴明の陰陽師に護られているから天災が来ないと口にされるのを、しばしば耳にします。